2025年4月19日、20日。2daysで開催されたメリフェス。場所は港に隣接する神戸メリケンパーク。
個人的な思いを、なんと約1年ぶりとなるブログに綴りたいと思う。
初回がいつだったかうろ覚えだけど、2022年に膝の怪我で欠場中だった頃に開催を聞いて、何度か神戸の町で試合させてもらっていた俺は「あぁ、俺はその場に居られないんだなぁ」と思っていた。
プロレスとレゲエが融合するイベントだったから、本当に羨ましかった。
と、上に書きながらだがもっと心の深層部、更に本音で言うと膝の手術を控えていた俺は自分がリングで再び闘っている姿が到底描けなくて、そのイベントの記事などが目に入るのをかなり避けていた。暗闇から光を見るのが怖かった。その光がまた自分に当たることがあるのか疑っていたんだと思う。

どうにか明るくしていたんだな。
でも今思う。主催者であり、メリケンプロレスの旗揚げ人でもある藤永さんにもお伝えしたが、欠場中、その未練が残るような試合の1つ1つが要素となって、俺はリングに戻る決断が出来るようになったんだ。1つでも欠けていたら、もしかしたら。なんて思ったりもする。
1年半の欠場を経て、リングに戻り、メリフェスのオファーを頂いた時は、ここまで来た。ここまで戻ってきたんだ。と過去の自分に感謝した。世界がモノクロに映る病室で、リハビリに暮れていた自分に。
過去には台風の影響で延期、開催日に大雨に見舞われる時もあり、今回も天気の心配がされたが、両日暑いぐらいの天候だった。
初日の第一試合、この日にデビューする藤本幸輝。相手は藤永さん。試合前からリング上では対戦相手は呼び捨てにしろ、勝負なんだ、と指導されていた幸輝。
場外にエスケープした藤永さんに、力強い口調で
「上がってこいクソジジイ!!」と吐き捨てたのはマジでビビった。
その時俺は「つまり幸輝。君は普段藤永さんのことをクソジジイさんと呼んでいることになる」と思っていた。
試合が終わった控え室では、藤永さんが「呼び捨てはいいって言うたけど、なんやあれ。ほんで百歩譲ってジジイはええけどクソってなんや!」と笑顔で幸輝に語っていた。デビューおめでとう。
第二試合もデビュー戦。大宅龍則。vs谷嵜さん。
デビュー前からレフェリーとしてリングに立つ大宅さん、だし、練習生時代もあったことから、リング上で闘う気持ちを見せると言うのが試合で感じられた。谷嵜さんも気持ちよくぶっ飛ばせたと思う。
ただ、2人ともここからがスタート。
荒波は今から来る。皆で乗り越えよう。
レゲエアーティストのショーケースを見ながら、自分の試合までリラックスして過ごした。
試合はジャックにやられた。Xにも書いたが、出会った頃はマジで子どもで、怪我しないかだけ心配だった。
会う度にデカく、レスラーになっていた。し、3を奪われたんだから認めざるを得ない。
何度か会場でかけた俺からのアドバイスにも満たない言葉を今でも覚えていて、周りから応援される人間性も納得だ。
何よりMYWAYの絆が素晴らしい。これはまた後ほど書く。
初日の敗戦は、直後のこの日の目玉。J-REXXXさんの「プロレスが大好きだ」の生歌で浄化された。
プロレスラーがリング上で、ステージ上からのメッセージを受け取っていた瞬間だった。
試合後はリングソウルに戻り、選手だけの打ち上げで終了。
2日目。第一試合から素晴らしいカード。
前日デビューした者同士のシングル。
大宅龍則vs藤本幸輝。
やはり費やした時間が、リング上に出るんだと再認識した。大宅さんはデビューにこそ至らなかったが過去、練習生期間があるし、一度諦めた道に戻った尊さがあると思う。
体重差を跳ね除けて、勝利を掴んだ。
幸輝も初日の負けん気をもっと伸ばして更にファイターになって欲しい。
さて、自分の試合。前日タッグマッチで、敗戦したジャックとシングル。
SNSにも書いたがまだ試合において俺が伝えられることはある。
試合しながら、ジャックの動きを過去の自分に投影して、羨ましい〜と思っていた。なんの制限もない動き。
それと、前述したMYWAYのセコンド勢。
俺自身はセコンドに着く際、マジで選手を勝たせようと言葉を飛ばす。ソレは俺のセコンドを見たことある人達は解ってくれると思う。
本当によく見ることなんだが、セコンドにおいて、機械なの?と思うような言葉を飛ばしている人間が多々いる。熱がない。正直そんなヤツのセコンドは要らない。黙って控え室にいれば良いと思う。
リング上は孤独でもあるから、一緒に闘っているんだってことを言葉にしなきゃいけないと個人的に思う。
試合中、ジャックの父親でもあるネグロさんが「ジャック!ジャック!」と叫んでいたのが、そうじゃなきゃねぇと思った。他のMYWAYの皆もジャックを勝たせようと本気の言葉を飛ばしていた。
試合は昨日やられた技を誘って逆に丸め込んで勝利。団体のチャンピオンからカウント3。これはネクストをしないといけないよね?ジャック。
その時があれば、伝えたいことがあるから期待しておくね。
忘れられない一戦となった、この日のメインイベント。
BADMAX藤永vs金本浩二
ステージ上から皆の"アニキ"金本さんが入場してきた際はレスラーもプロレスファンに戻っていたと思う。カッコよすぎた。
俺もオーラのある対戦相手の入場の時は冷静を装いながら、自分を落ち着かせることに必死な時もあるから、藤永さんに「藤永さん喧嘩しましょう!」と、勝負師になるよう言葉を飛ばした。
試合はマジで防戦一方だった。終始金本さんは余裕があった。さすが元祖喧嘩師だ。
場外乱闘でダウンしていた藤永さん。
ダメージで余裕がなくなっていた表情を見て
「藤永さん!負け顔すんな!!勝負捨てんなよ!!」
と言葉を飛ばした瞬間、意識的か判らないけど
眉間にグっとシワを寄せて歯を食いしばった顔になった時はマジで食らった。本当にこの日勝つ姿が見たいと思った。
金本さんのムーンサルトを返して、アンクルホールドをロープにエスケープした時に自然と
「藤永さんあとは勝つだけ!」と出た。
相手の手札は出尽くして、これよりキツい1発は来ないと確信したからだと思う。
勝負は一瞬で決まった。
記憶が曖昧だけど、もう一度金本さんがアンクルか足関節を狙った一瞬の隙を突いて丸め込みのカウント3。
勝負が着いた瞬間はマジで溢れそうになって、喜びを爆発させることで誤魔化していた。
一瞬ためらったけど、やっぱり我慢出来ずにリング上に上がり、藤永さんの勝利を祝福した。
本当に素晴らしい喧嘩、試合だった。
試合後の金本さんのマイクにも痺れた。
「俺はヘビー級相手にも丸め込みじゃなくて、技でカウント3を奪ったことがある。今日を認めないわけじゃないけど、それが本当の勝利や」と言うモノ。
皆深く頷いていたと思う。
どの競技、ジャンルにおいてもそういうモノだと思うけど、俺はプロレスは人生と一緒だと思う。
諦めなければ夢が叶うかは分からない。
けど、諦めなかった者だけが夢を掴める。
カウント2で返し続けて勝てるかは分からない。
けど、返し続けた者だけがカウント3を奪える。
改めてその思いが固まった1日だった。
最高の2日間が終わり、この日はリングソウルにて協賛の方々も含めての打ち上げ。
隙あらばマイクを取って思ってることを音楽と一緒に、と企んでいたがちゃんとその雰囲気になって満足だった。この曲を絶対に、と思っていたやつ。
曲を流しながら藤永さんを見たら、バーカンの業務をしながら少し俯いて口ずさんでいたのを見てマジで胸が熱くなった。今思うとそういうことだったんだ。
やはり俺の愛するプロレスと音楽ってやつは最高なんだ。
その場でも言ったけど、俺も含めて、どんなことだって皆誰かがやると思っているんだ。誰かがやってくれたら楽なんだ。メリフェスの開催。その誰かになったのは藤永さんなんだ。
あの日あの場所に日常の鬱憤や、傷を抱えながら来て、プロレスを観て元気になった人々がいると思う。またプロレスを観に来ようと思えた人々が確実にいると思う。
最後の最後に「俺じゃない、皆のおかげ」と笑顔で語っていた藤永さん。それに全てが詰まっていると思った。
最後に、本当に言葉を選ぶ必要があるし、軽々しくは書けないのだが、ブログにまではその選手に興味のある人々しか来ないと思って書く。
俺自身色々と過去に経験し、団体のトップにいる存在への疑いの念が少しある。どの団体にもそう。
何人かの仲間の背中も見送った。
自分の行いは自分にちゃんと返ってくる。だから過去に経験したことは自分が至らなかったんだと今は深く理解しているのだが。
でも本当は俺は人を信じたい。業界に入って、色々な経験をし、あぁ、不本意だけどこうやって生き延びる方法もあるのかと言う考えにも触れてきた。
元々俺は人が好きだったと思う。でも疑う心も教わった。教わりたくなかった。おとしいれようとする人間なんていないと信じたかった。
偉大な、生まれ育った島、家族、兄弟、仲間がそう育ててくれたと思う。
神戸の人間を見ていると、昔の自分に戻れそうなんだ。
藤永さんはメリケンプロレスを旗揚げして、私利私欲じゃなくて本当に皆のために闘い続けていると思う。
メリフェスの帰り車の中で谷嵜さんが「ティーダから飛び技を取ったら、考えられないよな。永遠にそのスタイルは難しいと思うけど、皆そこが見たいんよな」
と、言われた。
そう。自分でも思う。飛び技で膝を駆使してきた。
まさにこの両膝は俺のレスラーとしての命だと思う。
でもあの日思えた。
神戸の人間の為ならこの命は削れる。
そしてソレは勝手に俺がそうしたいって話しだから、自分の為だ。
Huge Respec.